第11章 戦場 [バルド]
「バーカ。
薬もらいにいくんだよ。
もうそろそろ無くなるだろ?」
くしゃくしゃになった髪を
少し直しながら
照れるように喜ぶ。
『あ、うん……//
覚えてたんだね…//』
「当たり前だっつーの。」
優しくしたら
ギューッと甘えてくる。
二人で旨い飯を食って
身支度をする。
俺は敵に不意討ちをくらわないよう
少し変装をする。
彼女も久々のデートに張り切る。
**
村の外れから
村の中央にある病院に行く。
てくてくと
手を繋いで歩いていくと
段々、人が多くなってくる。
元々、人が苦手であるの
握る手がギュッと力強くなる。
俺は何も言わずに
それを握り返す。
俺がいれば大丈夫だ。
**
「うん。
大分調子が良くなっているね。
『本当ですか?//』
「うん。旦那さんも手伝ってくれてるみたいだし、
このまま無茶をしなかったら
あと2、3年で
完治するはずだからね?」
『本当に!?
やったー!
嬉しいですっ!!!!//』
少し騒がしい診察室から
がペコッと頭を下げて
出てくる。
『ありがとうございます。』
ガチャンと扉を閉めてから
こちらに
満面の笑みで向かってくる。
後から話を聞くと、
とんでもない朗報だった。
二人で
帰ってお祝いをしようと
色々買い物をする。
帰りにケーキを頼んで
また夕方取りに行くことにした。
(これでやっとと二人で
静かに暮らせる。)
俺がこんな良妻を持ちながら
こんな仕事をしている理由は
彼女の薬を買うためだった。
苦痛ではなかったが、
やっぱり彼女を不安にさせることは
辛かった。