第10章 勝てない[アグニ]
我慢を強要するくせに、
動きを激しくして
意地悪するアグニさん。
どんな顔をしてるのかと
目をそっと開くと
気のせいかな…
優しい顔で笑っていた。
きゅぅっと胸が苦しくなる。
「あっ、そんな…
締め付けないで…くださ…っ//」
『あっ、んんっ、
ごめんなさいぃ…////
でも…ぅぅ…っ////』
今の…私に向けられた笑顔じゃなくても、
素敵だったんだもん…
「ほら、
もっと、感じて…」
ぐちょぐちょという音が
自分の中から聞こえる。
『ああんっ////
もう、だめぇ!!////
イっちゃう、イっ、イきますぅ////』
顔の横にある
アグニさんの腕を
がしっと掴んで
イかせてと
懇願すると、
「うっ、仕方…ありません、
イってください…
っっ、ん…」
『アアッ、やらぁっ////
もっ、あああああっん////』
ビクビクッ、
私の中が絞まると
「あああっ///」
アグニさんもイった。
そのあと、
『ハァ…ハァ…』
「ハァ………」
お互い息を整えると
アグニさんが
私をギューッと抱き締めて
「王子…//」
とだけ
言って、寝てしまった。
『っ………』
「…zZZ」
途中の笑顔も
この行為も全部ソーマ様に
向けられたものなんだって
わかってたはずなのに…
期待してなかったのに…
なんでこんなにも辛いのかな…
やっぱり。勝てないや。
END