第10章 勝てない[アグニ]
ぐちゃぐちゃになったシーツを
片付けながら
そんなことを考えていると
ソーマ様が無事
帰宅されたようだった。
もちろん、
隣にはアグニさんの姿。
昨日のあの
妖艶さ、残酷さが嘘かのような
爽やかな笑顔に
ゾッとする。
ソーマ様は
私を見つけると
タタッと駆け寄ってきた。
私はさっと
頭を低くして
『お帰りなさいませ…』
と言った。
いつものことだ。
「!!良いものをくれてやろう。
ほら…」
ニコニコしながら
そう告げるソーマ様をみあげると
キラッ
首もとでネックレスが光る。
『へっ!?//』
はじめての贈り物に
ドキドキしていると、
「ゴホンッ!!!」
隣でアグニさんが睨む。
その首もとには
キラッ
お揃いのネックレスがされていた。
「俺とアグニとおそろいだ。
大事にしろよ?」
『は、はいっ!!///』
**
ダンッ
その夜
『あっ、ごめんなさ……』
部屋に突然入ってきて
壁に押し付けられる
『(いたっ…)』
私の首もとで光るネックレスを
睨み付けて
今にも壊されてしまいそうな勢いでわたしを
見る。
「ソーマ様のものですから
手出しはできんが、
今度またこんなことがあれば、
こんなことじゃ
済まさないからな…」
低くて怖い声で
そう囁くと
またベッドに押し倒される。
今度は口を塞がれなかった。
けど、
私が叫んでソーマ様にこのことがバレたら?
誰も得しないよね…
『ア、アグニさ……』
力強く、乱暴にする彼に
できるだけ
抵抗しないように
こうお願いしてみることにした