第9章 死神より死神[葬儀屋]
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彼女と別れて半年がたった。
この死神の世界にも
彼女の名は轟いていた。
「人間に凄腕がいる」とか、
「死神のような女だ。」とか。
それから、
少しして
仕事をするときがきた。
彼女の店の近くだ。
あまり気乗りしなかったが、
服務規程違反で、
処分中の小生は
指示に従うしかなかった。
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仕事もスムーズに終わり、
帰ろうとしていたそのとき。
『アンダー…テイカー…??』
の声がした。
バッと振り向くと
いつも外に出ない彼女が
裸足で、雪のつもった
路地を歩いてきた。
『今まで無断で
どこにいた……』
小生は
彼女の殺気を感じとり、
そそくさと逃げた。
『おい、こら!!!!
待て!!!!』
当たり前のように
追いかけてくる彼女。
しかし、
800メートルほど走ったところで、
ドサッ
彼女はこけてしまった。
「っ~……
(あー、もうっ)
っ!?!?」
小生は彼女のそばに
駆け寄った。
『……
捕まえたッ!!』
彼女は肩で息をしながら
はっきりとそう言った。
小生が、頭に?を浮かべていると
『お前はアホか。
私の答えも聞かないで、
さっさと、行っちまいやがって。
私が……っ、
どれだけ、…どれだけ、』
ガシッと裾を掴んで
目に涙を貯める彼女。
小生はこのとき悟った。
あー、生まれ変わっても、
小生は彼女と結ばれるんだ…って。