第9章 死神より死神[葬儀屋]
0:00を知らせる鐘がなって
ようやく、我にかえった
小生は嫌な予感が頭をよぎった。
「ちょいと、失礼するよォ…」
バッと会場へ戻り、を探す。
どこにもいない。
伯爵も知らないと言っていた。
小生は、
彼女に着けておいた
香水の匂いを辿った。
すると、
屋敷の外れの林を
さっそうと抜けていく馬車があった。
小生は、それを足早に追いかけた。
**
side
『んーっ!!!んーっ!!』
しまった。
捕まった。
私は葬儀屋という表の仕事と
検視官という裏の仕事を
生業としている。
しかし、私みたいな
仕事の奴が邪魔なやつなど、
死ぬほどいる。
もう少し、警戒すべきだったな。
私もここまでか…
馬車を運転する
小汚ない男二人を睨み付けて
布で塞がれた口で
アンダーテイカーを呼ぶ。
あいつ…
今…なにしてんだろ…
クソ…こんなことになるなら、
ちゃんと仕事教えときゃ良かった。
無駄に足掻いて疲れたので
少し眠ることにした、
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アンダーテイカーside
「追い付いたァ…」
ドンっという音とともに、
馬車がガタンと揺れる
驚いて馬車を止めた男たちは
いわゆる"死神"を目の当たりにしていた。
「うわぁ!!!!」
「ギャァァア!!!!」
手間をかけさせやがって。
小生に人間が勝てるわけ
ないじゃないか…
…
きっと、怖くて泣いてるんじゃ…
小生がバァンと馬車の扉を開けると
『んー、むにゃむにゃ、
ふへへ…
ばかもの…そうではない…zZZ』
ねっ、寝てる…!!??;;;
「えぇぇ……;;;;」
小生はグーグーと眠る彼女を
抱き抱えて
店に戻った。
それにしても、
よく眠るお嬢さんだなァ…