第8章 白い人[アッシュ]
ポストは当然なかったので
すやすやと眠る彼女を
確認してから
窓のそばに手紙を起きました。
彼女の寝顔を見ると
幸せな気持ちになれました。
もう、彼女が欲しいなんて
思わないから、
彼女を幸せにしてください。
私は神にそう願いました。
私は振り返ってまた
羽をひろげ
窓から出ようとしました。
すると、
グイッ
誰かに引っ張られた気がして
後ろを振り返ります。
「っ、さんっ!?!?//」
彼女はまっすぐな瞳で
私を見ていました。
『貴方…だったんですね…。』
言葉の意味が理解できないまま
羽をしまいます。
「あの…//」
服を引っ張ったままの
彼女は
ポンポンと、自分のベッドを叩き
こちらへ座れと言っているようでした。
私は彼女の横へ座り
二人で話をしました。
『前にお話ししましたよね…
見たこともない人に
恋をしているって。』
「……はい。」
『私の恋は、
あの赤いリボンの髪どめから
始まったんです。
あれも、貴方ですよね?』
私は驚きながら
「は、はい…」
と答えた。
『私の部屋、
はしごがないと
窓まで来れないんです。
なのに、
下にははしごを置いたあとも
足跡さえなかった。
人じゃないかもしれない、
と、思いました。』
「…」
私は人でないものまで
恋愛対象に入ってしまう彼女に
再び驚きました。
『だから、手紙を書いてみることにしたんです。
手紙を窓に置いてくれたとき、
捕まえて
告白する予定でした。』