第8章 白い人[アッシュ]
資金を稼ぐために
ロンドンにある小さなカフェで
ウェイトレスをしていました。
そのカフェは、
破綻寸前でしたが、
急に客足が増え
一気にチェーン店を出すほどにまで
成り上がりました。
店の店主は
彼女の働きぶりに感謝して、
彼女に沢山の給料を
あげました。
彼女は大喜びで
町へ戻り、パン屋を建てました。
さんが
昔住んでいた家のような形でした
私は頑張る彼女に
赤いリボンのついた髪止めを
プレゼントしました。
クリスマスの日にこっそりと
窓のそばに置いておきました。
彼女は今でも使ってくれています。
私は彼女がたまらなくほしくなりました。
だから今、彼女のパン屋の
屋根に立っているのです。
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「しかし、狭い村ですね…」
私が言いたいのは大きさのことではなく
密集地のため、
すぐに噂が広がるということですよ。
私を物珍しく見に来る住人たちで、
パン屋は大騒ぎになったんです。
慌てて店の店主が
出てくる。
面と向かって話すのは初めてなので
緊張します。
『みんな?なにかあるの?』
頭にはてなを浮かべて出てくる
さん。
やはり、お美しい。
皆が屋根を見上げていたので
同じように上を向くと
私に気づいたようでした。
『だっ、だだだだ大丈夫ですかっ!?
い、今、はしご持ってきます!!!』
彼女は慌てて中へ戻って、
はしごを持ってきました。
「あ、ありがとう、ございます…//」
私は本当は使わなくてもいいけど、
はしごを使って下へおりました。
町の人がジロジロと私を見るなか、
彼女は
『みんな、仕事は~?』
何て言いながら、
私から注意をそらそうとしてくれました。
町の人々も段々と散らばっていきます。
『ふぅ……
と、とりあえず、中に。』