【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第4章 For the First Time
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レオノアに友達を作らせてやりたい。
そう願ったのは自分だ。
ジャンは友達として申し分ない。
そう認めたのも自分だ。
それなのに、なぜだろう。
レオノアがジャンに笑顔を見せるたび。
レオノアがジャンと顔を近づけ合うたび。
強く握った拳の中に、棘だらけの氷ができる。
そんな時は慌てて、父王からもらった手袋をはめた。
「レオノア・・・」
これまでずっと、あの子の心には自分がいた。
だが、これからはジャンやその他の人間が巣食うことになるのか。
トントトトントン
毎日、聞こえるノックの音。
「今日は、ジャンに学校の友達のことを教えてもらったよ」
トントトトントン
「ジャンが言っていたんだけど、キルシュタイン夫人の作るオムオムはすごく美味しいんだって。オムオムってなんだろうね?」
トントトトントン
ジャンがね、・・・
ジャンってね、・・・
ジャンはね、・・・
レオノアの口から出るのは、その名前ばかり。
最近は「リヴァイ」よりも多く聞く。
いつか、レオノアの心から、自分の存在が消えてしまうのではないか。
そのうちに、ドアをノックする音も聞こえなくなるのではないか。
暗く、孤独な部屋で一人、膨大な時間を過ごす。
そんな日々に耐えるリヴァイの胸にいつしか、不安が生まれるようになっていた。