【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第4章 For the First Time
・・・怖い!
咄嗟にそう思った。
そして、その恐怖は間違いなく、“あの部屋”から感じる。
「レオノア! ドアが凍ってるんだけど、なんだよこれ!」
「・・・ああ、氷?」
レオノアはジャンの後ろからひょっこり顔を出すと、ニッコリと笑いながら裏木戸に触れた。
「触るなよ! なんか変だ」
「ただの氷だよ」
「はあ? だって、おかしいだろ! 今は夏・・・」
「変なジャン」
震えている友人をクスリと笑うと、王女は白い手でドアを撫で始めた。
「大丈夫・・・怖くない、怖くない」
それは、怯えた表情のジャンをなだめるためか。
レオノアは歌うように言いながら、木戸の取っ手をさすっている。
すると、それまで真っ白だった氷が、空気に溶けるようにスーッと消えていった。
同時に、リヴァイの部屋から感じていた重苦しい気配も消える。
「レオノア・・・お前・・・」
どこからともなく現れた、氷。
微笑みながら振り返る、王女。
決して姿を見せない、王子。
「ね、怖くないでしょ?」
ジャンはその時、初めてアレンデール城の“秘密”に触れたような気がした。
「あ・・・ああ・・・」
そして、その“秘密”は、決して誰かに話してはいけない。
ジャンの本能が、そう警告していた。