【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第4章 For the First Time
この時期に氷は自然にできないことくらい、いくら子どもとはいえジャンでも分かる。
震える指先で触ってみると、やはり冷たかった。
「どうしたの?」
レオノアは薔薇を見つめているジャンを振り返り、怪訝そうに首を傾げた。
氷には気が付いていないようだ。
「・・・こ、氷って、なんでもねぇところにできるもんだっけ?」
「何言ってるの?」
「いや・・・なんでもない」
きっと気のせいだ。
朝露がなんらかの理由で凍り付いたままになっていたんだろう。
確かに朝とかちょっと冷えるしな。
ジャンはなんとか自分にそう言い聞かせた。
「馬小屋に行こう。ジャンに見せたい仔がいるんだ」
「お、おう」
「ジャンにそっくりなんだよ」
「どういう意味だよ、それ!」
屈託のない笑顔で笑うレオノアはいつも通りだ。
「・・・・・・・・・」
きっと、氷は気のせい。
この城はひっそりとしていて不気味だから、幻覚を見ただけだ。
そう言い聞かせながら、レオノアの代わりにローズガーデンの裏木戸に手をかけた時だった。
気のせいだと思っていた“異変”が、今度はもっとはっきりとした形となって現れる。
パキパキパキパキ・・・
「うわぁ!!」
みるみるうちに冷えていく、つたの絡まった古い木戸。
まるで、ジャンとレオノアを花園に閉じ込めるかのように、錠が真っ白に凍りついてしまった。
「なんだよ、これ!」
今、寒くないよな?!
何もないのに、なんで氷が・・・?!
パニックになっていると突然、背後から冷たく重い“気配”がジャンを襲った。