【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第4章 For the First Time
「レオノア様、探しましたよ!」
「乳母や!」
まるで本当の母娘のように接するキルシュタイン夫人とレオノアを見て、胸がチクリと痛んだ。
「なんだ、もうジャンと会っていたんですね」
「うん。乳母や、ジャンのことを知っているの?」
「そりゃ、私の息子ですからね」
「へえ!!」
顔を輝かせながらこちらを見たレオノアからワザと目を逸らす。
それは俺の母ちゃんだ。
馴れ馴れしくするんじゃねぇよ。
「ジャンボ、こちらがレオノア様だよ。お友達になって差し上げるんだ」
「・・・ふん、知らない」
「こら、ジャン!」
ポカリと頭を叩かれ、余計に腹立たしさが増した。
なんで、こんなヤツと友達にならなきゃいけないんだ・・・
こんな・・・ヤツと・・・
「ジャン、お友達になってくれるの?」
自分の意思に反して、その笑顔に胸がドキドキする。
こんなことは初めてだった。
「や、やだね! お前みたいなブス」
「なんてことを言うんだい、ジャン!!」
今度はさっきよりも強いゲンコツが落ちる。
でも、レオノアはニコニコしていた。
「私はジャンにいろいろなことを教えてもらいたい。私の知らないことをいっぱい知っているんでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・」
「だから、お願い。またお城に来て、お話をいっぱい聞かせて?」
両手を合わせ、ジャンに頭を下げるレオノア。
王家の人間はもっと傲慢かと思っていたジャンにとっては衝撃だった。
それにやっぱり・・・
レオノアの純粋な瞳を前にして、意地悪になりきれない自分がいた。
「分かった・・・そんなに言うなら来てやってもいい」
「本当?!」
「なってやるよ・・・友達に」
すると、レオノアは零れるほどの笑みを浮かべた。
それはまるで、すぐ後ろで咲いているピンク色のアジサイのように華やかで、瑞々しい笑顔。
ジャンは目だけでなく、心まで奪われる。
「ありがとう、ジャン」
「・・・・・・・・・・・・」
しかし、その気持ちが何であるかを理解するには、ジャンはまだ幼すぎた。