• テキストサイズ

【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜

第4章 For the First Time





突然の来訪者に罵られたレオノアは、目を丸くしていた。


「ぶ・・・ぶす?」

「そ、そうだ!! お前なんてブスだ!! ブース、ブース!!」


言ってやった・・・
言ってやったんだ、俺は!

母ちゃんを横取りするお前が悪いんだぞ!


ジャンは肩を上下させながら、チラリとレオノアに目を向けた。
まだ驚いたまま、こちらを見ている。
手に乗せていた雛が地面に飛び降りたことにも気が付かぬまま。


「・・・・・・・・・・・・」


すると、レオノアはゆっくりと瞬きをした。

“泣きだすか?!”と思って身構えたジャンだったが、次の瞬間、レオノアが口にした言葉に衝撃を覚える。


「私・・・ブスだったんだ。知らなかった」


泣くどころか、レオノアは嬉しそうに微笑んでいた。


「ありがとう、ジャン」

「は、はあ?」

「お父様も、お母様も、乳母やも、みんな私のことを可愛いって言ってくれるけれど、知らない人から見たら私はブスだったんだね」

「な・・・なんで嬉しそうにしてんだよ、お前」


普通、そこは怒るか、泣くところだろ。
気持ち悪いな。


「だって、今まで知らなかったことを知れたから」

「・・・お前、バカにされているんだぞ」

「バカにしているの? ブスなのはいけないことなの?」

「いや・・・そういうことじゃなくてっ」


ブスという言葉は、ただ口から勝手に出てきただけだ。
もっとたくさんの言葉を用意していたはずなのに、レオノアの顔を見た瞬間に、全部吹き飛んでしまった。

見たままと正反対の言葉ぐらいしか出てこなかった。


「ねぇ、ジャンは外から来たの?」
「あ、ああ・・・そうだけど」
「お友達はいる?」
「い、いるけど」

なんでそんな当たり前のことを聞くんだ?

「いいなぁ」
「お前はいないのか?」
「うん、私はいない。ジャンはすごいね」
「べ、別に! も、もし、お前が頭を下げるなら───」


“友達になってやってもいい”と言おうとしたところで、後ろからキルシュタイン夫人の声が飛んできた。



/ 92ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp