【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第1章 Vuelie 〜語り継がれる愛〜
自分が他人にはない力を持っていることに気がついたのは、物心がついた頃。
物に触れると、真っ白な霜がつく。
そのうちに、ちょっと集中すれば霜だけではなく、凍りつくようになった。
「わぁ、雪だ!」
こうして、氷の結晶を集めて雪を降らすことだって、リヴァイにしてみれば簡単なこと。
美しい絵画が飾られたダンスホールが、瞬く間に真っ白な雪で覆われていった。
「レオノア」
キャッキャッとはしゃいでいる妹を呼んで、こっちに向けさせる。
そのリヴァイの腕の中には、80センチほどの雪だるまができていた。
「“僕はオラフ。ギュッて抱きしめて欲しい”」
少しイビツな形の頭に、優しい顔をした雪だるま。
それを見たレオノアは顔を輝かせ、ギュッと抱きついた。
「大好きだよ、オラフ!」
オラフという名は、リヴァイがつけた雪だるまの名前。
いつの頃からか、この名で呼ぶようになっていた。
大人が作るそれとは違い、決して上手な出来とは言えないオラフ。
何故か出っ歯だし、体のバランスも悪い。
しかし、レオノアはどの雪だるまよりもオラフが大好きだった。
頰を赤くしながらオラフを抱きしめている姿に、リヴァイもまた嬉しい気持ちになる。
もっと妹を喜ばせたい、そう思った。
「しっかりオラフに捕まってるんだぞ」
右足で床を踏みしめると、そこから氷が広がっていく。
そして、両手から小さな吹雪を出し、それを原動力としてオラフに捕まるレオノアと一緒に氷の上を滑った。
「きゃあ! すごい!」
アイスダンスのように氷の上でクルクルと回ると、嬌声をあげてくれる。
そんな素直な妹が、本当に可愛くて仕方がない。