【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第4章 For the First Time
別に、仲良しというわけではない。
少なくともジャンは、コニーとサシャのことを疎ましく思っていた。
馴れ馴れしい田舎者の二人と、両親とも城に仕えている街育ちの自分は違う。
そう思っているのに、気が付けばこうして三人でいることが多かった。
「ジャンは会ったことがあるんですか、お姫様に」
「はぁ? あるわけねぇだろ」
「でも、ジャンの母ちゃんがお姫様を育ててるんだろ。すげぇな」
「・・・・・・・・・」
何気ないコニーの言葉にジャンは黙り込んだ。
この二人は、自分の母親が乳母じゃないからそんなことが言えるんだ。
ジャンはその場から立ち上がった。
「え、どうしたんだよ、ジャン」
「・・・帰る」
びっくりしている二人から視線をそらし、そばに転がっていた教科書の入った鞄を拾う。
「お姫様だか何だか知らねぇけど・・・気に入らねぇ」
ジャンはそれだけ言うと踵を返し、コニーとサシャを残して家の方へ走って行ってしまった。
これ以上、その場にいたくないとばかりに・・・