【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第3章 In Summer
「そして、レオノアが生まれたのは、暖かな初夏の朝だった」
その日も、まるで目の前の出来事のように思い出すことができる。
「全ての命が生き生きと輝き、彼女の誕生を祝っているようだった」
ただただ愛おしくてたまらなかった。
そして、
ただただ心配でならなかった。
どうか、その手の中に氷の結晶は握られていませんように、と。
「レオノアは太陽のような子だ。その明るい笑顔は、人々を温かい気持ちにさせる」
「うん・・・わかるよ」
頷いたリヴァイに、王は優しく微笑んだ。
「そして、お前は月のような子だ、リヴァイ。お前の静かな眼差しは、人々を深く包み込む」
アレンデールはいつか、お前の力に守られることになるだろう。
だが、その力は同時に、アレンデールにとって脅威になりかねない。
「レオノアは燦然と輝き、人々を照らす。だが、お前はそっと撫でるような光を注ぎ、人々を安心させる」
「・・・・・・・・・・・・」
「私はどちらが優れているのかという話をしているのではない。お前達は二人とも、アレンデールの民にとっての光であり、救いとなるだろう」
「父上・・・」
王はリヴァイの両手を取った。
いつかその頭上に王冠を戴く王子。
その時が訪れる頃には、このような手袋など必要がなくなっていればいいと心から願う。
「ほら、お前の手を取っても、私の手は凍らない」
「本当だ・・・」
「誰にも悟られないよう、その力を隠すんだ。感じないように。見せないように」
「感じないように・・・見せないように・・・」
父の言葉を心に刻むように、復唱する。
もし父が自分のことを“光”だと思ってくれているのなら・・・
自分もその気持ちに応えたい。
「うん・・・大丈夫そうだ」
庭から聞こえてくる、レオノアの笑い声。
リヴァイは妹の明るい笑顔を想い、口元を綻ばせた。