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【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜

第3章 In Summer






「これを身に着けていなさい」


ある日、王はリヴァイに一対の手袋を手渡した。
手首の部分には飾り文字で、王と王妃、そしてレオノアのイニシャルが縫い付けられている。


「これで、直接何かに触れなくてすむだろう」


息子に手袋をはめてやりながら、王は笑顔を見せた。


氷の魔法を消すことをあきらめてからの数日間、どうすればこの強大な力をコントロールできるようになるかを考えた。

リヴァイはまだ幼い。
しかも、本人は何故この力を持って生まれたのか知らない。
口で言ってどうこうできる問題だったら楽だっただろう。
しかし、普通の人間である王には、どのようにすれば力を制御できるのか見当もつかなかった。

そして、悩んだ末、王はリヴァイに暗示をかけることを選んだ。


「この手袋があれば、氷の魔法は封じ込めることができる。それにほら、ここに私達の名前も刻んである」

「・・・・・・・・・・・・」

「お前は一人ではないぞ、リヴァイ。父と母、そしてレオノアもお前とともにいる」

リヴァイはジッと手袋の刺繍を見つめていた。
そして、素直な瞳でコクンと頷く。


これできっと大丈夫だ。
力を抑えられるような気がする。


「ありがとう」


本当はそんな手袋など気休めにもならないとは知らずに、リヴァイは王の言葉をただ信じた。


すると、窓の外から、キャッキャッと笑うレオノアの声が聞こえてくる。
おそらく、召使の一人と鬼ごっこをしているのだろう。

寂しそうに窓を見つめるリヴァイを見て、何を思ったのか。
アレンデール王は息子の頭を撫で、口を開いた。


「お前が生まれたのは、冬の朝のことだった」


懐かしそうに瞳を揺らす王。


「ダイヤモンドのような雪が降っていた光景が、今も目に焼き付いている」

「・・・・・・・・・・・・」

「美しい銀世界に響いた産声を聞いた瞬間、私はこの命のためならなんでもできると思った」


ただただ愛おしくてたまらなかった。
ただただ幸せでならなかった。

その小さな小さな手の中に、氷の結晶が握られていることに気が付くまでは。




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