【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第3章 In Summer
パキパキとベッドが真っ白に凍り付く。
さらに、氷は床から広がり部屋全体を覆っていった。
このまま部屋を完全に凍らせて、氷牢にしてしまおう。
そうすれば、誰も自分に触れることができなくなる。
そして、自分も誰かに触れることができなくなる。
引くことのない波のように、部屋を飲み込んでいく氷。
その冷たい闇が、最後に残ったドアまで辿り着こうとした時だった。
「リヴァイ、そこにいるんだね」
氷の魔法が、止まる。
「良かったぁ・・・」
自分を拒絶する兄の言葉を聞いて、安堵する妹。
リヴァイの瞳が大きく広がった。
「おはよう、リヴァイ」
どのような言葉をぶつけられてもいい。
声が聞こえるということは、この壁を隔てた向こうにリヴァイがいるということ。
レオノアは泣き腫らした目をニッコリと細め、パタパタと廊下を駆けていく。
遠ざかっていく足音とともに、部屋を覆っていた氷が少しずつ溶けていった。