【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第3章 In Summer
「息子の力がどんどん強くなっている。抑えようとしているのだが、このままでは暴走しかねない」
すると、フリーダはリヴァイに歩み寄り、同じ高さの目線になるよう屈んで、両方の手を取った。
形を確かめるようにジッと見つめてから、深い色をした瞳をリヴァイの顔に向ける。
「前にも言った通り、“怖れ”が大きな敵となる・・・王子、貴方は何を恐れているの?」
「・・・・・・・・・・・・」
なんだか、居心地悪い・・・
まるで、この大きな瞳に、自分の心の中を見透かされているようだ。
リヴァイが黙っていると、フリーダは王子の頭を優しく撫でた。
「大丈夫。私は貴方の力で傷つきはしない」
「・・・分かるのか?」
「貴方は恐れている。その力で誰かを傷つけてしまうということに」
全てを凍らす力を持って生まれた子。
この力が本来の役目を果たす時、フリーダは命を賭さなければならないだろう。
アレンデールが分裂し、滅びぬよう・・・
フリーダは、隠す暇がなく、玄関に置かれたままとなっているエレンとミカサの靴をチラリと見た。
エレンはすでに“覚醒”している。
本人がそれに気づいていないだけだが、それも時間の問題だろう。
「フリーダ」
王が短い沈黙を破った。
夜明けまであとわずか、皆が目を覚ます前に全てを終わらせてしまいたい。
「リヴァイの力を消してもらいたい」
「魔法の力を消す?」
「そうだ、それが可能ならば」
「・・・・・・・・・・・・」
フリーダはリヴァイから少し離れると、アレンデール王に静かな瞳を向けた。
「可能です」
その答えは、王よりもリヴァイの方が強く望んでいたものだった。
これで孤独から解放される。
またレオノアと遊んでやることができる。
小さな胸が躍ったのもつかの間。
フリーダの次の言葉で、それは脆くも崩れ去る。
「ですが、それは本当にアレンデール王が心から望まれてのことでしょうか?」
強い夜風が窓を軋ませる。
壁に吊り下げられていたロウソクの一本から火が消えた。