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【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜

第3章 In Summer




城を出発してから一時間。
馬車が一軒のボロ小屋の前で停まる。

王は王子とともに降りると、御者に少し離れた場所で待機するよう命じた。


あれから一年。
相変わらず小さく、外壁の板の中には腐りかけているものすらある。
そして、以前来た時と同じように、深夜だというのに窓からは煌々と明かりが漏れていた。


トントントン。

王がドアをノックすると、すぐに中から物音が聞こえた。
そして、数秒もしないうちにドアがギィーっと音を立てながら開く。

「これはこれは、アレンデール王」

やはり、出てきたのは、ボサボサ頭に眼鏡をかけたハンジ。
仰々しく頭を下げると、傍らにいたリヴァイに視線を落とした。

「やあ、リヴァイ王子。少し大きくなったようだね」
「・・・・・・・・・」

馴れ馴れしい態度はどうでも良かったが、リヴァイはこの人間が苦手だと思った。
にこやかにしているくせに、目は笑っていない。
リヴァイの一挙一動を探っているようだ。

「フリーダもお待ちかねですよ」
「それは話が早い。失礼する」

王は会釈をすると、息子の手を引きながら部屋の中に入った。
ドアをくぐる瞬間、リヴァイは子ども用の靴が二足並んでいることに気が付いた。

男の子用と、女の子用。
サイズから見て、レオノアと同じか、少し上の年齢だろう。

子どもなど見かけないのに、何故置いてあるのか。
ハンジの子どもか? とも思ったが、どこからどう見てもこの人物は親に見えない。
しかし、リヴァイの注意はすぐに、子どもの靴から削がれることとなった。


「リヴァイ王子」


その柔らかな声に、ドクンと心臓が音を立てる。
顔を上げると、白い細身のドレスをまとったフリーダがそこに立っていた。


「大きくなられましたね」


とても美しい人だと思う。
しかし、同時に・・・

怖い。


一歩後ずさったリヴァイに、フリーダは微笑みかけた。
敵意は感じないのに、全身に鳥肌が立つ感覚を覚える。


「フリーダ、頼みがある」


アレンデール王が切り出した。




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