【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第2章 Do You Wanna Build a Snowman?
“明日はもっと雪が降る”
庭師の言葉は本当だった。
翌朝目覚めると、窓の向こうは一面の銀世界。
昨日よりも深い雪で覆われている。
レオノアはベッドから飛び降りると、寝間着の上にコートを羽織り、ブーツを履いた。
この雪なら、十分にオラフを作ることができる。
何より、早くリヴァイに会いたかった。
昨日と同じように、広い廊下を駆ける小さな足。
真っ直ぐと王子の部屋に向かい、雪の結晶が描かれたドアをノックした。
トントトトントン
「雪だるまを作ろう!」
雪がいっぱい降っているよ。
前みたいに一緒に雪だるまを作ろう。
しかし、今日もいくら待っても返事は無い。
レオノアの胸に不安がよぎった。
父も母も、キルシュタイン夫人も、リヴァイがここにいると言っているけれど、それは嘘なんだろうか。
「ねぇ・・・リヴァイ、そこにいないの? 遠くへ行っちゃったの・・・?」
レオノアの口から初めて、寂しそうな声が漏れる。
その直後、部屋の中からコトリと音がした。
「リヴァイ!」
やっぱりいるんだ!
このドアを一枚隔てた向こうに。
レオノアは嬉しくなって、もう一度顔を近づけた。
「雪が降っているよ! 雪だるまじゃなくてもいいから、一緒に遊ぼう」
少しでもリヴァイに声が届くよう、鍵穴に口をくっつけて誘ってみる。
すると、今度は物音だけではなかった。
「あっち行け、レオノア!」
それはよく知った声のはずなのに、初めて聞いたような気がした。
「え・・・?」
どんなに面倒臭そうにしている時でも、リヴァイは決してレオノアを拒絶したりなどしなかった。
「リヴァイ・・・?」
それなのに、何故・・・?
レオノアはとても悲しくなった。
リヴァイは、自分のことが嫌いになってしまったのだろうか。
「・・・・・・・・・」
泣きそうになっていると、不思議なことが起こり始めた。
両手をついているドアが、どんどんと冷たくなっていく。
まるで床から天井へと凍りついていっているようだ。
ここに居ちゃいけないということなのか。
「分かったよ・・・」
レオノアは肩を落とすと、兄の言う通りドアに背を向け、トボトボとそこから離れた。