【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第2章 Do You Wanna Build a Snowman?
キルシュタイン夫人と召使は、すぐにレオノアの望みを叶えてくれた。
その年初めて降った雪は思いのほか少なく、ようやく地面が隠れるほど。
しかし、召使達に呼ばれて裏門のそばに出てみると、そこにはレオノアの腰よりも少し低い雪だるまがこちらを見ていた。
「この大きさのものを作るのが精一杯でした」
これだけの雪をかき集めるのに苦労したのだろう。
鼻の頭を真っ赤にした庭師が、申し訳なさそうにレオノアに頭を下げる。
「お気に召していただけたでしょうか、レオノア様」
「うん・・・小さくて可愛い・・・」
丸く固められた頭。
バランスの良い胴体。
木の実の目、木炭の鼻、木の手。
さすがは、庭師が作った雪だるまだ。
でも・・・
欲しかったのは、これじゃない。
オラフだ。
そして、それを作れるのはこの世界でたった一人しかいない。
「・・・ありがとう」
小さいながらも、母親そっくりの仕草で会釈するレオノア。
本当に嬉しい時は飛び跳ねて喜ぶことを知っている召使達は、王女の希望に沿えなかったことに落胆を隠せなかった。
「明日になればもっと雪が積もるでしょうから、レオノア様よりも大きな雪だるまを作りますよ」
「うん!」
この寂しい城の中で、王女の可愛らしい笑顔は救いだ。
悲しい顔だけはさせないよう、明日はもっと大きな雪だるまを作ろう。
空を覆う雪雲よ、どうかそれまでに十分な雪を降らせておくれ。
キルシュタイン夫人を含む召使たちは、心からそう願った。
そして、レオノアもまた、小さな胸の中で同じことを祈っていた。
もっと雪が降れば、リヴァイは外に出てきてくれるかもしれない。
前はとても仲が良かったんだ、きっとまた一緒に雪だるまを作ってくれる。
ちらつく雪の一粒を手のひらに乗せ、レオノアはニッコリと微笑んだ。