【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第2章 Do You Wanna Build a Snowman?
「・・・・・・・・・」
しかし、中から返事がない。
どうしたのだろう、まだ寝ているのだろうか。
「雪が降っているよ。雪だるまを作ろう!」
さらに待ってみても、リヴァイの声は聞こえてくる気配が無かった。
もっと大きな声を出さないと聞こえないのだろうか。
レオノアは胸いっぱいに息を吸った。
「ねぇ、ドアを開けて。ここから出てきて、リヴァイ」
雪だるまを作ろうよ。
「・・・?」
聞こえないのかな・・・
それとも・・・ここにいないのかな・・・
「リヴァイ・・・どこ・・・?」
それまで頬を上気させていたレオノアから笑顔が消える。
本当にもう、リヴァイに会えないの・・・?
悲しくなって、ドアの前でペタリと座り込んだ時だった。
「レオノア様!」
廊下の向こうから乳母の声が聞こえてくる。
顔を上げると、血相を変えたキルシュタイン夫人が、ドレスの裾を摘み上げながら走ってきた。
「乳母や」
「起こしにお部屋へ参りましたら、ベッドが空になっていてびっくりしましたよ」
よほど心配したのだろう、額には汗が滲んでいる。
それを見て、レオノアは申し訳ない気持ちになった。
「ごめんなさい」
「どうしてここに・・・リヴァイ様のお部屋に来たのです?」
「だって・・・雪が降っていたから・・・」
「雪?」
短い夏と秋が終わり、アレンデールは長い冬に入ろうとしている。
いくら幼いとはいえ、この国で生まれ育ったレオノアにとって、雪はそこまで珍しいものではないはず。
「リヴァイ様と一緒に雪を見たかったのですか?」
乳母は優しくレオノアを抱き上げながら、窓の外を見つめた。
これは自然に降る雪。
リヴァイの魔法が牙を剥いた、あの恐ろしい夜に城内を凍らせたものとは違う。
「雪だるまを作ってもらいたかったの」
「雪だるま・・・? ならば、私共がお作りいたしましょう」
「でも、リヴァイのがいい・・・」
「私達も上手に作りますよ。さあ、こちらへ」
一刻も早く、リヴァイの部屋からレオノアを遠ざけなければ。
キルシュタイン夫人は、チラリとドアに目をやる。
妹に存在が悟られないよう、部屋の中で息を殺している憐れな王子を思い、足早にその場から離れた。