【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第2章 Do You Wanna Build a Snowman?
「雪だ!!」
よほど嬉しかったのだろう。
寝起きにも関わらず、レオノアは可愛らしい声で叫んだ。
雪が降ると、リヴァイは雪だるまを作ってくれた。
それは、顔が細長くて不格好。
だけど、父や執事が作るまん丸の綺麗なものより、ずっと好きだった。
“リヴァイ、起きて”
“・・・遊びてぇなら、ひとりであそんでろ”
“雪だるまを作るのはどう?”
“・・・仕方ねぇな”
雪が降るのは夏が終わってから始めてだというのに、随分と最近のことのように思える。
リヴァイは、どんなに気が乗らなくても、雪だるまだけはレオノアがお願いすれば作ってくれた。
名前は・・・なんだっけ・・・?
“僕はオラフ。ギュッて抱きしめて欲しい”
「オラフ!」
窓に手をついて叫ぶと、霜の張ったガラスが白く曇った。
少しイビツな形の頭に、優しい顔をした雪だるま。
リヴァイは何故かそれをオラフと呼び、レオノアのハグが欲しいと言わせた。
妹が素直に“大好きだよ、オラフ”と言って抱きしめるのを、いつも優しい目で見つめていた。
雪が、またあの頃の時間を戻してくれるかもしれない。
ずっと会うことを禁止されているリヴァイだけど、雪だるまを作ろうと誘えば、部屋から出てきてくれるかもしれない。
だって、前は夜中にこっそりベッドを抜け出してまで作ってくれたのだから。
レオノアの小さな脳裏に浮かぶ、リヴァイと雪遊びをする記憶は鮮やかだ。
当然だろう。
つい2カ月前の、夏のことなのだから・・・
しかし、レオノアの記憶にある兄妹は冬のコートを着ていた。
そして、雪は兄が魔法で降らせたものではなく、自然に舞い落ちるものだった。
それは、この世界で最もリヴァイの力を脅威とし、アレンデール王家と相対するレイス家の末裔。
フリーダの力によって塗り替えられた記憶だった。
しかし、何も知らない王女は、心を弾ませながらリヴァイの部屋に駆けていった。