【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第2章 Do You Wanna Build a Snowman?
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リヴァイと離れ離れになってから、何十回の夜を迎えただろう。
毎晩、寝る前に絵本を読んでくれた兄。
夜中に目を覚ますと、自分の布団の中に入れて再び眠りにつくまで背中をさすってくれた兄。
朝起きると、おはようと言って頭を撫でてくれた兄。
無口でぶっきらぼうだけど、レオノアに対しては誰よりも優しかった。
彼がいないというだけで、とても寂しくて、悲しい。
真っ暗な部屋にひとりぼっち。
何故、こうなってしまったのだろう。
あと何回一人で寝たら、リヴァイは戻って来るのだろう。
どうして、お父様とお母様は、リヴァイに会ってはいけないと言うのだろう。
リヴァイに会いたい。
広い、子供部屋。
壁はレオノアの好きな色に塗られ、可愛らしい絵も飾られている。
カーテンもレースがあしらわれた花柄に変えてもらった。
きっとリヴァイだったら顔をしかめただろう。
レオノアの好きなもので埋め尽くされた部屋。
だけど、暗くて冷たい・・・
そう。
一番好きなものはここにない。
「リヴァイ・・・どこ・・・」
リヴァイと遊んだ王子様とお姫様の人形を握りしめていても、寂しさがあとからあとから押し寄せる。
むしろ、兄の顔そっくりに作られた人形を見ていると、よけいに恋しさが増した。
まだキルシュタイン夫人が起こしに来る時間には早い。
だが、もう眠りに戻れそうにない。
レオノアはそっと目を開けると、閉じられたカーテンの隙間から、キラキラとした光が差し込んでいることに気が付いた。
朝日・・・?
いや、違う!
その瞬間、胸が大きく高鳴った。
慌ててベッドから起き上がり、床に素足を下ろす。
絨毯張りなのに、足裏を氷のような冷たさが刺した。
吐く息も白いほど部屋が冷えていたが、それが余計にレオノアの心をときめかせる。
間違いない!
重いカーテンの一枚を両手でしっかりと掴み、大きく右に引っ張った。
すると、真っ白な世界が目に飛び込んでくる。
「わぁ!!」
窓の向こうに広がる、静かなアレンデールの城下町。
灰色の雲からチラチラと舞い落ちる雪。
レオノアの瞳に映る景色は、純白の色で輝いていた。