【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第2章 Do You Wanna Build a Snowman?
「お前に多くを背負わせてしまう、この無力な父を許して欲しい」
王から謝罪の言葉が出た瞬間、それまでじっと外を見つめていたリヴァイが初めて振り返った。
そして、不安そうに白目がちな瞳を曇らせる。
「なぜ、謝るの・・・?」
「私の心からの気持ちだ。お前とレオノアの幸せをこんなにも願っているというのに、このようなことになってしまって・・・」
本当なら、同年代の子供と外を駆け回って遊びたいだろう。
可愛い妹との時間を楽しみたいだろう。
しかし、全てをこの子から取り上げなくてはいけない。
リヴァイは青みかがった三白眼で、じっと王を見つめた。
その瞳には、怒りや悲しみといった感情は一切込められていない。
「・・・気にしないで」
「リヴァイ・・・?」
「俺には・・・父上と母上がいればいい」
リヴァイの瞳に込められた感情。
それは、家族への深い愛情・・・ただそれだけだった。
家族さえいてくれたら、自分はどんな孤独にも耐えられる。
リヴァイの足元が、徐々に凍っていく。
「そして・・・レオノアが元気で・・・笑ってくれていればいい・・・」
魔法の力はすでに、制御しなければ他人を傷つけるまでに強くなっている。
それでも父はたまらず、息子の身体を抱きしめた。
冷たい・・・まるで、“氷”のようだ。
「大丈夫だ、リヴァイ」
「・・・・・・・・・・・・」
「お前は一人ではない。私達がついているからな」
「・・・・・・・・・・・・」
「愛している。お前のためならば、私は全てを投げ打ってもいい」
親として・・・子供の苦しみを代わってやれないことほどつらいものはない。
だが、父も母も、お前を心から愛していることだけは、どうか忘れないで欲しい。
「・・・うん」
“一人じゃない”
今のリヴァイにとっては、その言葉だけが唯一の支えだった。
この先、果てしない孤独と戦っていかなければならない。
「レオノアもいつか分かってくれる」
「・・・うん」
そして。
レオノアの存在が、唯一の光だった。
愛しい妹の頭を撫でるその日が、再び訪れるまで。
必ず、耐えてみせる。