【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第1章 Vuelie 〜語り継がれる愛〜
「あとでっていつ?」
「朝になったらだ。ほら、ここに入れてやるからお前も寝ろ」
今はもう少し寝かせて欲しい。
そんなリヴァイをよそにレオノアは兄の体の上で仰向けになると、不満そうに真っ暗な天井を見上げた。
「お空も起きたし、あたしも起きちゃった。だから遊ばなきゃだめ」
レオノアの小さな手が毛布を引っ張ると、サラサラとした黒髪と、白くて柔らかな肌が覗く。
目はまだしっかりと閉じられていた。
「リヴァイ、起きて」
「・・・遊びてぇなら、ひとりであそんでろ」
しつこい妹にさすがのリヴァイも頭にきたのだろう。
寝返りついでに、レオノアの体を押しどける。
「わっ」
ドシンとおしりから床に落ちたレオノアは、しばらくプゥ〜っと頬を膨らましていた。
しかし、空に浮かぶ白い月を見て何かを思い出したのだろう。
瞳をパァッと輝かせる。
そうだ、きっと“アレ”ならリヴァイも一緒に遊んでくれるだろう。
レオノアはよじよじとベッドに再び登ると、右半身を下にしてこちらに背を向けているリヴァイの顔を覗きこんだ。
父王にそっくりだと誰もが目を細めて言う、氷のように透き通った色をした三白眼。
それを覆う瞼に手を当てて、強引に開く。
「雪だるまを作るのはどう?」
「・・・・・・・・・・・・」
雪だるま。
この仲の良い兄妹にとって、それは特別な意味を持っていた。
その言葉を出されたら、リヴァイも目を開けずにはいられない。
すぐそばで嬉しそうに顔を覗き込んでくる妹に、ため息を吐く。
「・・・仕方ねぇな」
そして、柔らかい髪を優しく撫で、微笑んだ。