【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第2章 Do You Wanna Build a Snowman?
「レオノア!」
ドアを開けて廊下に出ようとした瞬間、鉢合わせになったのは固く絞った濡れタオルを持った母だった。
レオノアの顔を見るや、美しい目を大きく見開き、娘と同じように涙を浮かべる。
「ああ、レオノア! 目が覚めたのね!」
「おかあさま!」
母親に苦しいくらいに抱きしめられ、今度は安堵の涙が溢れてきた。
相当心配していたのか、母も何度も確かめるようにレオノアのあちこちを撫でた。
「こわい夢をみて、起きたら誰もいなくて」
「かわいそうに・・・ごめんなさい、レオノア。貴方を一人にするつもりはなかったのよ」
「ひとり・・・」
温かい母の腕の中で、大事なことを思い出した。
あの部屋で自分は“一人”になることなど無かったのだ。
何故なら・・・
「リヴァイは、どこ?」
その瞬間、母の顔が僅かに強張った。
まるで、レオノアの口からその名が出ることを恐れていたかのように。
「レオノア、リヴァイはね」
言葉を選ぶように、ゆっくりと。
娘の目を真っ直ぐと見る。
「別のお部屋にお引越しをしたの」
「どうして?」
「もう大きくなったからよ。いつまでも一緒に寝られないわ」
「・・・・・・・・・・・・」
ということは、もう寝る前のお人形遊びも、お話も、それに・・・
それに・・・?
「レオノア?」
眠れない夜、リヴァイはお人形遊びに付き合ってくれたし、絵本を読んでくれた・・・しかし、それだけではない。
もっと楽しくて、心弾むようなことをしてくれたような気がする。
「お人形遊び・・・お話・・・」
それに、なんだっけ。
思い出せない。
兄妹にとって、とても大事なことだったような気がするのに・・・