【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第2章 Do You Wanna Build a Snowman?
レオノアが目覚めると、子供部屋には明るい光が差し込んでいた。
キラキラと輝く窓、揺れるカーテン。
所々に散らかったオモチャ。
真っ白なシーツ。
いつもと変わらない。
なんだかとても疲れたし、お腹もペコペコだ。
とても長い夢を見ていたような気がする。
「リヴァイ・・・」
小さな手で目をこすりながら、いつも朝一番に“おはよう”と言って頭を撫でてくれる兄の姿を探す。
しかし、いつまで待ってもその声も、その手もやってこない。
不思議に思って体を起こしてみると、レオノアの目に飛び込んできたのは真っ白な大きい壁だった。
「あれ?」
そこには子供用のベッドがもう一つあったはず。
まるでレオノアが眠っている間にまるで神隠しにあったかのように忽然と姿を消している。
よく見ると、リヴァイの洋服が入った棚も、小さな文机もない。
その代わりに、兄のベッドがあった場所には、レオノアが大事にしていた王子様とお姫様の人形が寄り添うような姿で置かれていた。
「リヴァイ・・・リヴァイ・・・? おかあさま・・・おとうさま・・・」
急に不安が押し寄せてくる。
リヴァイはいったいどこへ行ってしまったのだろうか。
いつも自分のそばに居てくれたのに。
もしかして、眠っている間にこの世界にたった一人残されてしまったのではないか。
そういえば、とても怖い夢だったような気がする。
トロールが出てきて、リヴァイが泣きそうな顔をしていたような・・・
「ひっく・・・リヴァイ・・・」
静かすぎる子供部屋は、輝く太陽の光が差し込んでいるのに怖くて仕方がなかった。
レオノアは耐えきれなくなって、零れ落ちる涙を拭おうともせず、ベッドから飛び降りる。
リヴァイはどこ?
揺れる柔らかな髪は、その一部が老婆のように真っ白になっていた。