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【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜

第1章 Vuelie 〜語り継がれる愛〜



壁のいたるところに、地図や、真っ黒な怪物のような絵が飾られている。
大きな本棚もあり、そこにはおびただしい量の書物が無造作に詰め込まれていた。

そのいくつかには先ほど父の書斎で見かけた文字と同じものが刻み込まれている。


「こちらへ来て、もっと顔をよく見せてくれないか」
「・・・レオノアは・・・? あいつを助けてくれるんじゃないのか」

何故、自分に構うのだろう。
母の腕に抱かれているレオノアは、もう虫の息だ。
こうしている間にも死んでしまうかもしれない。

しかし、ハンジは初めて口を開いたリヴァイに顔を輝かせた。

「残念ながらレオノアを助けるのは私じゃないよ。さ、手を出して」
「・・・・・・・・・」

言われた通りに両手を差し出すと、手のひらに触れたハンジの指先が瞬く間に霜焼けのように腫れていく。

「冷てぇ!! ってか、痛ぇ!!」

興奮気味に叫んだその声に、リヴァイはギクリと肩を強張らせた。
手が凍っていく感覚の何がそんなに嬉しいのだろう。
しかし、ハンジは頰を上気させ、ガッツポーズをしてみせている。

「“伝説”は本当だった・・・! 私が生きている間に、本当にこの“力”を持って生まれてくる子がいたとは・・・!」

「ハンジ」

半分取り乱しながらフーフーと手に息を吹きかけているハンジに、王は少し苛立ちを見せ詰め寄った。

「リヴァイの魔法が娘に当たってしまった。助けてくれ」

「ええ」

すると、奇妙なこの家の主人は、真意の読み取れない笑みを浮かべた。
何か嫌な感じがする、リヴァイは咄嗟にそう思って俯く。


「大丈夫、“彼女”はすぐ現れますよ。貴方がたが来たせいで、山が随分とざわついているからね」


ハンジがそう言い終わるや否や、突然小屋のドアが開いた。
途端、地面が凍ったせいで冷たくなった外の空気が舞い込んでくる。

一同が振り返ると、そこには長い黒髪の美しい女性が立っていた。





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