【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第1章 Vuelie 〜語り継がれる愛〜
険しい表情の父が向かった先は、山奥にある小さな集落。
村と呼ぶには規模が小さく、ひっそりとしている。
とある家の前で馬を止めて降りると、僅かに震えている息子を抱き下ろした。
「ここは・・・?」
滅多に城の外へ出ることのないリヴァイ。
このような粗末な建物に、人なんか住めるものなのだろうかと首を傾げたくなった。
屋根も壁も木造りで、壁の中央にあるドアの左右に大人が手をいっぱいに広げた大きさの窓がひとつずつ。
カーテンの隙間から灯りが漏れているから、確かにこの家には人が住んでいるのだろう。
「・・・・・・・・・」
しかし、そんなことよりもリヴァイはレオノアが気になって、母の方を振り返った。
毛布に包まれた小さな体が、僅かに動いている。
・・・生きている。
「ここは、レオノアを助ける“力”を持つ者が住んでいる家だ」
父は静かな声でそう言うと、まだ馬に跨ったままの母からレオノアを預かる。
そして、真っ青なその頰を、凍傷になりかけている手で愛おしそうに撫でた。
リヴァイも妹のところに駆け寄りたかったが、これ以上彼女を傷つけるわけにはいかない。
自分の力がそうさせてしまった・・・
そばに近寄るわけにはいかない。
ギュッと唇を噛み、ただレオノアの命の灯火が消えないことを祈るしかなかった。
「おいで、リヴァイ」
父がリヴァイの手を取ると、その足元にある土はまるで彼の恐怖を表すかのように凍りついていた。
この力は精神状態に強く左右されている。
今までは遊び程度にしか思っていなかった力が、実はこれほどまでに恐ろしいものだったなんて・・・
早く、この力を消さなければ、さらに恐ろしいことになる。