【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第1章 Vuelie 〜語り継がれる愛〜
ドクン・・・ドクン・・・
心臓が強い音をたてる。
その美しい心を切り出せ
愛と恐れを込めて
冷たく輝く氷を切り出せ
凍った心を砕け
その少女を見た瞬間、あの歌の文句が蘇る。
「・・・・・・・・・」
青白い頰は、まるで氷のごとく。
可憐なその体をいまにも死神に捧げようとしているのか、母の腕の中でぐったりとしている。
そして、もう一人。
美しく力強い
危険で冷たい
氷の魔法
エレンは彼の姿を見た瞬間、先ほどから感じていた恐怖の根源を知る。
馬を中心として凍てつく、辺り一面。
飛散した氷の粒は、エレン達の足元をも凍らせていった。
馬を引く、王の懐にいる少年。
氷のような彼の三白眼を見た、その瞬間。
1人…10人…100人の屈強な男も太刀打ちできない、強大な力
美しくも危険な力
「・・・氷の心に気をつけろ・・・」
エレンの口から溢れていたのは、古くから伝わる歌の最後の歌詞。
出会ってはいけない人と、出会ってしまった。
本能が、エレンにそう訴えていた。