【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第1章 Vuelie 〜語り継がれる愛〜
「ハンネスさんに聞けば」
「あの人が知るかよ。氷のこと以外は何にも知らない、ただの呑んだくれなんだから」
「じゃあ、ハンジさんに聞けば」
「・・・もっと期待できねぇよ」
エレンはソリを引くトナカイの背中から、七色のカーテンがユラユラとして揺れている空を見上げた。
「あの人は変人だから、まともな答えなんて返ってこない」
「私達の面倒を見てくれる人をそんな風に言うのは良くない」
「うるさいな。まあ、今は面倒見てもらってるけど、そのうち・・・」
「そのうち?」
ミカサは、ソリからトナカイに跨っているエレンを見上げた。
どうしてだろう、時々その背中がとても遠く感じる。
こんなに近くにいるのに・・・
「一人前になったら、あの家を出て一人で生きていく。行きたい所や、見たいものがたくさんある」
「それはダメ」
「は?! 何でだよ」
「だって、エレンは私がいないと早死にするから」
無鉄砲で、世間知らず。
何より、エレンは絶対に“普通”の人と生きていくことができない。
「エレンが家を出るなら、私も出よう。だから、貴方が一人で生きていくことはない」
アレンデールでは珍しい黒髪の間から、意思の強そうな瞳を向けてくる。
そんなミカサのことを家族同然のように思ってはいるが、時々鬱陶しさを感じてしまう。
「お前なぁ・・・」
エレンが何かを言いかけた瞬間だった。
遠くからけたたましく走る馬の蹄音が聞こえてくる。