【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第1章 Vuelie 〜語り継がれる愛〜
凍える寒さと雨の結晶
非情で、純粋な氷
その美しい心を切り出せ
男達の歌声が、凍った湖を切り裂くノコギリの音とともに響く。
一歩足を滑らせて氷の下の水に落ちたら、命はない。
彼らは、自然の脅威への怖れと畏敬の念を持って、恩恵を切り出していく。
美しく力強い
危険で冷たい
氷の魔法
いつ、この歌が生まれたかは誰も知らない。
ただ、アレンデールでは氷を切り出す時に必ず口ずさむものだった。
美しくも危険な力
氷の心に気をつけろ
「氷の心・・・か」
「エレン?」
大人達が切り出したものと比べれば、半分ほどの大きさしかない氷をソリに乗せながらエレンが呟いた。
エレンとミカサが切り出した氷は小さく、売り物にならない。
だから、仕事の後は家に持ち帰ることを許されていた。
「氷を切り出す時にみんな歌ってる、あの歌だよ」
エレンはこれが嫌いだった。
記憶しているかぎり、父もこの歌を口ずさんだことはなかったはず。
「氷の魔法ってなんだろうな?」
「・・・さあ?」
大昔に作られた歌詞のことをミカサに尋ねられても困る。
ただ仕事の時に歌うもの、その程度にしか思っていなかったからだ。