【リヴァイ】 Frozen 〜 Let It Go 〜
第1章 Vuelie 〜語り継がれる愛〜
「・・・なんてことだ・・・!」
床も、壁も、天井も、真っ白に凍りついている。
シャンデリアからは氷柱が垂れ下がり、美しい絵画には霜。
無惨にも崩れた雪だるま。
雪と氷の真ん中で、妹を抱きしめている息子。
その一つ一つを目の当たりにした父は、悲痛な声をあげた。
「もはや我々の手に負えなくなったか・・・」
リヴァイが誕生したその日から恐れていたことが、とうとう起こってしまった。
死人のように横たわる妹を抱きながら、恐怖に震えている我が子を見つめる。
「レオノア!」
王妃が悲鳴をあげながら駆け寄り、グッタリとしているレオノアを抱き上げた。
「氷のように冷たい・・・ああ、かわいそうに」
「わざとじゃない・・・ただ、レオノアを喜ばせたくて・・・」
涙を溜めながら見上げてくるリヴァイに、母はどうしてよいか分からず、震える手でその黒髪を撫でる。
「貴方・・・いったいどうすれば・・・このままではレオノアが死んでしまいます」
「私に任せなさい。どうすれば良いか分かっている」
王はリヴァイを立たせると、その手を引いてダンスホールを後にした。
カツン、カツン・・・
暗い廊下を足早に歩く。
リヴァイは不安でならなかった。
母親とレオノアは召使とともにどこかへ行ったようだった。
途中、繋いでいた手が凍りつき始めたが、父はそれを顔に出さないようにしていた。
もし、ここで息子の手を払ってしまったら、幼い心は打ち砕かれてしまう。
「・・・・・・ッ・・・」
父は息子を傷つけるくらいなら、自らが凍傷になることを選んだ。