第5章 お仕事
「ははは、なんだか長くなりそうだから、私は退散するとしよう」
苦笑いを浮かべ、私とハンジとのやり取りを見ていたエルヴィンが言う
あ、そうだ。
私は、エルヴィンに書類を届けに来たんだっけ
エルヴィンの声を聞き、本来の目的を思い出すと、私は持っていた書類をエルヴィンに渡した
「あ、これ、リヴァイ兵長から預かった書類です」
「お、すまない、ありがとう」
エルヴィンは、それを受けとると、じゃ、またと言い、部屋から去ってしまった
「じゃ、まずは巨人の生態について話すとしよう」
エルヴィンを見送ると、ハンジは嬉々として巨人のことについて話始めた
ーーーどれくらい経っただろう
生き生きとしながら話すハンジの言葉は、とても興味深いものだった
巨人はうなじを削ぎ落とすと絶命し、それ以外に倒す方法はない
また通常種とは違って、不規則な行動を起こす奇行種がいること
など、様々なことを教えてくれた
「あと、これは最近わかったことなんだけど、エレン・イェーガーって子がいてね、その子が巨人になることが出きるんだ」
「……エレン・イェーガー……?」
どこかで聞いたことがある名前だ
そう思い思考を巡らせると、先日リヴァイの部屋で出会った少年を思い出す
確か、エレンって名乗ってたっけ……
「彼が出す巨人が、また凄いんだぁ!壁の穴を塞いじゃうくらいだしね!」
まるで、自分が成した偉業のように雄弁に語る
私より若そうに見えたのに、そんな凄いことが出来るんだなぁ
リヴァイといい、人は見かけによらない
リヴァイとエレンの顔を、交互に思い浮かべながら、心の中で思う
私も何か手伝えたら良いのに……
このまま、ただ飯食わせてもらうのも、何だか申し訳無いし……
そう思い、ふと過った疑問をハンジに尋ねる事にした
「……ハンジさん、私でも巨人を倒すことは可能でしょうか?」
「えっ?サーヤちゃんが?」
意外な質問だったのだろう、ハンジはうーんっと唸りながら、頭をかいた
「普通ならさ、巨人と戦うためには訓練が必要なんだよねー」
「訓練……ですか」