第5章 お仕事
「彼女ーー、サーヤは何か巨人の鍵を握っているかもしれない」
そうエルヴィンに聴かされたのは、昨夜の会議が終わった後での事だった
本日の議題を終え、自室に戻ろうとした時、エルヴィンに呼び止められた
話をすると、どうやらエルヴィンは、サーヤが巨人に関わっているのではないか、と疑ってるようだった
確かにエルヴィンの考えも一理ある
人が住める場所など、壁の外にあるはずがない
だがサーヤは、無傷で壁の外の居住後を、さまよっていたのだ
サーヤの話を聞いても、不可思議な点も多い
俺には嘘をついてるとは、思えなかったが、エルヴィンは怪しいと睨んだのだろう
「だから、リヴァイ。君にサーヤの監視をして貰いたい」
「……俺以外に、適任はいると思うが」
「何かあったら遅いだろう?……それに、この事実をあまり公にしたくはない」
なるほど、エルヴィンの意図は察した
仮に巨人に関係あった時、そこらのやつじゃ対応出来ない
それに、サーヤを詳しく知るのは、今のところ俺とエルヴィンだけだ
他のやつに任せるとなると、どこから話が漏れるかわからないからな
現状、俺が一番適任と言うわけか
「………了解した」
「あぁ、頼んだ。何かあれば知らせてくれ」
昨夜の会話を思い出し、溜め息をつく
全く、面倒な事を押し付けられたものだ
それにしても、サーヤはまだか?
二重の苛立ちに、心のなかで舌打ちするのと、サーヤの部屋の扉が開いたのは、ほぼ同時だった