第4章 新しい生活
どれくらい経っただろう
リヴァイの掃除に対する目は思いの外、厳しい
私がこれでいいやと思っても、やれ、角に埃が溜まっているだの、やれ、汚れが落ちていないだの、何だかんだ煩く言われた
あぁ、結婚して姑が出来たらこんな感じなのだろうな、と何度思っただろう
リヴァイは私が思ったより、神経質で潔癖症だった
「よし、まぁ、だいたいこれで良いだろう」
隅々までピカピカにした筈だが、リヴァイはこれで妥協してやるーーと言いたげな物言いだった
はぁ、やっと終わった……
掃除してた筈なのに、大量の汗をかいている
背中から伝って落ちる雫が、気持ち悪い
「サーヤ、明日は買い物にいくぞ」
「か、買い物ですか?」
「あぁ、色々必要な物とかあるだろ」
エプロンを脱ぎながらリヴァイは言う
確かに、自分は身一つでこちらに来ている
色々必要な物もあるだろう
あ、着替え……ないや……
一刻も早くシャワーを浴びたいのだが、着る服がない
困った……
「あの……リヴァイさん」
「……なんだ?」
「着替え……が、欲しいんですけど……」
恐る恐るリヴァイに尋ねる
罵声を浴びせられると思ったが、リヴァイは私を見ると、特に何も言わず部屋を出ていってしまった
暫くして、リヴァイが部屋に戻ってきた
手には白いシャツとズボンを持っている
「使ってはいるが…ちゃんと洗濯してある、とりあえずこれを着ろ」
私の手にシャツとズボンを押し付けると、じゃあなと言って、部屋を後にした
ちょっと大きめな男性用のシャツとズボンだ
洗濯してあると言っていたから、リヴァイの物なのだろう
顔は恐いし、口も悪いけど、意外と優しいな
リヴァイの顔を思い浮かべると、くすっと笑ってしまった。
明日がちょっぴり楽しみだ
シャツを鼻に近付けると、ほんのり、リヴァイの香りがした