第3章 一緒
「ここは、ウォール・ローゼの調査兵団所だよ」
「うぉー……る??」
ドイツとかアメリカとか、考え付く限りの海外の名前に全く当てはまらない
ウォール・ローゼなんて、初めて聞いた
その後の調査兵団と言うのは、きっと組織の総称だろう
「えっと……何を調査してるんですか?」
素直に疑問を口にした
リヴァイは相変わらず鋭い眼光こちらに向けている
「巨人……のことも、サーヤは知らないのかな?」
先程からの雰囲気とは違う
丁寧だが、その巨人と言う言葉には重く冷たい物が感じられた
「はい……知りません」
「そうか……」
一気に空気が重くなった気がした
巨人
言葉通りで捉えるなら、巨大な人間
知っているとしたら、それくらいだ
「まずは、人類の歴史から話さなきゃいけないようだね」
重くなった空気を変えたのは、エルヴィンの優しい声音だった
ーーそれからどのくらい話しただろう
エルヴィンの丁寧な説明でやっと状況が掴めてきた
ここは日本でも、私が居た現代でもない
巨人と言う化け物に怯え、壁の中で暮らすようになった人類
その巨人に対抗するべく、編成された調査兵団
今回の壁外調査で発見された、私
そしてエルヴィンは調査兵団の団長、リヴァイは兵長だということ
まだ理解が及ばないが、やっと自分が置かれた状況を把握してきた
私はいつ、どうやってここに来たのかわからない
元の世界に戻れるかも……わからない
「さて、次はサーヤのことを教えてくれるかな?」
どうしてあんな所に居たんだい?
そう続いたエルヴィンの言葉に、私は自身が置かれた状況を説明した