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短編集 ~とにかく好きなもの詰め込みました~

第4章  前の席  《イナGO 霧野》



それから六時間目も過ぎ、放課後。

みんな部活や委員会などでちらほらと教室を出て行っていた。


私は部活には入っていないので、帰る支度をしていた。


すると、霧野君がこちらを向いた。


星楽「…何、かな?」

霧野「いや、俺、美月に嫌われてんのかなと思って。」

星楽「え、なんで?」

霧野「だって、1年の時から一緒のクラスだったけど、目も合わせないし、

避けられてるような感じだったから。」


そんなに私はわかりやすく避けていただろうか?

確かに、関わりたくないとは思ってたけど…


星楽「別に、嫌いじゃないよ。それに、今日は目合わせたでしょ?」

霧野「あ、ああ。だからあのとき結構びっくりしてさ。」

だから、固まってたのか。


霧野「なんだ。俺、嫌われてなかったのか…よかった…。」

そう言って霧野君は少し笑った。


うわぁ、やっぱイケメンだな…。

あ、そういえば

星楽「霧野君、部活はいいの?」

霧野「えっ?ああ。今は神童を待ってるんだ。神童、委員長だからさ。」

星楽「そっか。神童君っていつも大変そうだもんね。」

霧野「そうなんだよ。神童ってサッカー部のキャプテンでもあってさ…」


それから霧野君は神童君の事とか、サッカーについてなど話した。


あまりにも霧野君が楽しそうに話すから、こっちまで楽しくなった。


星楽「霧野君って、本当にサッカー好きなんだね。」

霧野「ああ、もちろん!…ってそろそろ時間か。」


そっか、もう時間か。ちょっと残念だな。


霧野「よかったら、また話さないか?」

星楽「う、うん!」


素直に嬉しかった。また、話せるんだ。


あれ?私、霧野君と関わりたくないんじゃなかったっけ?


そんな事よりも、霧野君と話せるということの方が嬉しかった。


そして、なぜかわからないけど


胸がとくん…と心地良く鳴っていた。






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