第4章 前の席 《イナGO 霧野》
それから、私達の会話は弾み、あっという間に昼休みが過ぎた。
そして、今は五時間目の授業中だ。
五時間目は国語で、なんと古文だ。眠くならないわけがない。
もう、限界……。
私は眠気に勝てず、そのまま寝てしまった。
先生「おいっ美月!起きてんのか!?」
星楽「うわっ!はい!」
思わず起立してしまった。
そうでした。国語の先生は寝ている生徒に厳しいんでした!
先生「だったら、ここに書いてある古文の作者は誰だ?」
やばい、授業全く聞いてなかった。
しかも古文なんて大の苦手なんですけど!
悩んでいると、霧野君が小声で
霧野「美月」
と、呼んだ。
私が霧野君の方を向くと、霧野君のノートに“聖徳太子”と書いてあった。
だから、とりあえず
星楽「しょ、聖徳太子…?」
と答えた。
先生「正解だ。ちゃんと起きてたようだな。これからも寝るなよ。」
星楽「はい…」
そう言いながら席に着いた。
あー危なかった。今回は霧野君に助けられたな。
星楽「霧野君。」
と呼ぶと、霧野君はすぐに振り向いた。
星楽「ありがとう。霧野君のおかげで助かった。」
霧野君の目をまっすぐ見て言った。
そういえば、初めて目を合わせたかもしれない。
すると、霧野君は少し頬を赤くして固まっていた。
熱でもあるのか?
星楽「霧野君?」
そう呼び掛けると、やっと我に帰ったようで、
霧野「え、あ、ああ。さっき数学で助けてもらったから、そのお返し。」
と、霧野君はまた眩しい笑顔で言った。
霧野君は、自分の顔が整っていることを自覚していないのか?
むやみにあの笑顔を振りまかないで欲しい。
私の心臓が爆発しそうだ。
そのとき、私は周りからの女子の視線に気付かなかった。