第3章 読めない 《HUNTER×HUNTER キルア》
星楽はそのとき、いつもの貼り付けような笑みじゃなくて
真剣な表情をしていた。
だから俺は少し星楽への警戒が薄れた。
さらに星楽は話を続けた。
星楽「私は、普通になりたくて、殺しも盗みもやめた。
親からは反対されたんだけどな。
だから親を納得させるためにハンター試験を受けたんだ。
…って私の話ばかりしてしまったね。」
星楽は少し笑った。
その顔はいつもと違い、凄く自然な表情だった。
俺は単純に綺麗だと思った。
すると星楽は、また口を開いた。
星楽「私は、君…キルアと友達になりたいんだ。
君は私と同じ…いや、私よりもっと辛い経験をしてきたと思う。
けれど、私はキルアの痛みを共有できると思うんだ。」
こんなことを言われたのは初めてだった。
嬉しかった。
俺のことを分かってくれる奴がいた。
けれど…
キルア「俺、オマエ…星楽の事、すげぇ警戒してた。
今も少し警戒してるんだ。そんな奴でもいいのかよ。」
と聞いたら…
星楽「警戒するのはしょうがない事だ。私も、簡単に人を
信用しないからね。けど、キルアなら、怖くないんだ。
なんだか昔の自分を見ているようだから。」
ああ、俺も星楽と一緒にいたい。
俺は星楽への警戒心は、完全になくなって、
キルア「変な奴だな、オマエ。仕方無いから友達になってやるよ。」
と言って、自然と笑っていた。
すると、
星楽「本当に素直じゃ無いな。君は。」
と星楽が言ったから
キルア「オマエだって、いつも貼り付けたような笑みばっかしてるだろ。」
って言ってやった。
星楽「“貼り付けた”とは失礼だな。
そのポーカーフェイスは私のチャームポイントだから。」
そう言って星楽はまた、あの貼り付けたような笑みに戻った。
本当にコイツは読めない。
だけど、なぜか信用できた。
こうして俺は星楽と友達になった。