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【合同企画】 その駅の名は

第4章 五人目


「モう少しだっタケど、バレちャッたなラ仕方なイ。今日ノ所は帰シてアげるヨ」

黛の姿をしたモノが声を発する度にヒビ割れは増えていく。そしてバラバラと崩れ始めた。崩れ落ちた欠片は闇へ溶けるかのように消えていく。

「僕の質問に答えろと言っている」

「俺ハオレだヨ。他ノ何者でモナい」

ケラケラと笑い声を立てながら崩れ落ちていくソレに、赤司は冷たく問い掛ける。だが返ってきたのははぐらかすような答えだけだった。

「モうジキ電車ガ来るカラそレに乗レバ帰れル」

「お前の言うことを信じると思うのか」

「信じル信じナイはソッチの勝手ダ。たダソノ電車を逃しタラもウ帰れナい」

黛の姿であったソレは、冷えた笑みを残しながらハラハラと崩れ落ちていく。チリンチリンと鈴の鳴るような音と太鼓を叩くような音がどんどん近づいてくる。が、あと少し、という所でピタリと止まった。

「ホラ、迎えガ来タ」

そう言ってケラケラと笑い声だけを残して、黛であったソレは姿を消した。一瞬の静寂が訪れる。


チリン


四人の真後ろで鈴の鳴るような音がした。全員が振り返るがそこには何も無く、ただ闇だけが広がっていた。
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