第3章 トンネルの中
「いい加減ハラ減って死にそうなんだがオレは」
「永ちゃんて燃費悪いよね」
「この鍛え抜かれた筋肉を動かすにはアレぐらい食わなきゃなんねーんだよ」
「あんたたちいい加減にしなさい」
葉山と根武谷がいつものごとくワイワイと騒いでいると、実渕が呆れた声をかけた。
ぽつん
冷たい雫が葉山の頭上に落ちる。と、それが合図であったかのように足元が次々と水玉模様に変わる。
「うわっ‼︎雨降ってきた⁉︎」
雨足はだんだんと強くなる。このままでは全身びしょ濡れだ。
「急いで戻るぞ‼︎全員走れ‼︎」
いきなり声を荒げたかと思えば、赤司は勢いよく走り出した。一瞬呆気にとられた三人も慌てて後に続く。どれくらい走っただろうか。気がつけば踏み切りを越えていた。雨は既に止んでいる。
「どうしたんだよ赤司」
早足で歩きながら根武谷が尋ねる。実渕も葉山も訳がわからず混乱している。