第3章 トンネルの中
だがフッと笑うとトンネルの方へ歩を進めた。三人も後に続いてトンネルへと入る。思いの外長いトンネルのようで出口は見えない。
「わっ‼︎」
突然葉山が大きな声を出した。トンネル内に葉山の声がこだまする。驚いた実渕と根武谷が葉山に詰め寄る。
「ちょっと小太郎、いきなり大きな声出さないでくれる?びっくりするじゃない」
「なんだってんだよ小太郎。人をビビらせて面白がってんじゃねーよ」
「ごめんってば二人共。トンネルの中って声が響いて楽しいからさー、ついね」
悪びれもせず葉山が笑うと、赤司は小さくため息をついた。
「小太郎、オオカミ少年の話は知っているな?」
「う……ごめんってば赤司。もうしないからさ」
さすがに赤司に睨まれては葉山も小さくなる。実渕は肩をすくめると二人に向けて口を開いた。
「もういいから行きましょ?このトンネル意外と長そうだから急がないと朝になっちゃうわよ?」