第5章 唯一無二の存在
なぜ気付かれた?
今日試合で二軍の選手が
ボールをもって
俺がつくと意地でも抜こうとして
俺の足を踏んだ。
しかし、相手はわざとではないし、
謝っていたし俺は何も言わなかった。
彼女はいっこうに
靴をぬごうとしない
俺にあきれたのか
ぬがそうとした。
「やめろ
そのくらい大したことはない」
俺は常に完璧でなくてはならない。
幼いころから父親に
そう叩き込まれてきた。
完璧でない俺に存在価値はない。
誰にも心を許すな。
ずっとそう思って生きてきた。
けがで処置されるなど
もってのほかだ。
「俺に触るな」
そう言い放って俺は
更衣室に向かった。