第13章 私立誠凛高等学校
「テツくん!部活遅れちゃうね!
ほんっっとごめん!」
手の平を頭の前でくっつけて
深くお辞儀をする私。
新しい校舎だけあって
広くて道に迷ったあげく、
先輩に絡まれていたところを
たまたまテツくんが見つけてくれて
助けてくれた。
「大丈夫ですよ、涼音さんこそ
何もなくてよかったです」
優しく微笑んでくれる彼に
とても心が暖かくなった。
「ありがとう!
よし!体育館いこっ!」
私は仕切り直して歩調をはやめた。
「あ、待ってください!
体育館はこっちですよ!」
まさかの逆方向。
…もしかして私って方向音痴!?
「す、すいません…」
心底テツくんがいてくれてよかったと思った。