第12章 心の拠り所
そう言って男はかばんをもって
教室からでていってしまった。
「ちょ、待てよ!」
もう一人の男もかばんをもって駆け出していく。
いつも俺がこうするから
涼音は男から告白されることはない。
俺がちゃんとしないと
涼音は必ず奪われる。
俺は好きって言えないのに。
なんで、俺より気持ちが軽いくせに
簡単に好きって言えるんだよ。
こんなにも他人を羨ましいと思うことはない。
兄妹で生まれたことを別に恨んではいない。
兄妹として生まれたからこそ
涼音は俺の唯一の心の拠り所となった。
でも、兄妹で恋愛してはいけない。
そんな決まりが俺を締め付ける。