第2章 続 アンラッキーアイテム//緑間
「ううん、大丈夫だよ。気にしないで。あれ、朝一緒にいたお友達は?」
「高尾なら弁当を持参しているらしいのだよ。岬は、いつも食堂なのか?」
「そうだよ、両親共働きだからね。自分で作ればいいんだけど、朝弱くって」
えへへと照れ笑いする岬も…
柄にもなくそんなことを思っていると、急に岬が慌て出す。
「…あ!お財布教室に忘れてきちゃった…。やっちゃった…」
どうやら財布を忘れ、友人も先に戻ってしまっているらしい。
「俺が払うから、商品を渡すのだよ」
自分の昼食を傘と一緒に右手に持ち、岬に左手を差し出す。
「えっ悪いよ」
「いいのだよ。教室に財布を取りに戻ったら、そのサンドイッチは無くなってるかもしれないのだよ」
「…じゃぁお言葉に甘えて。ありがとう。後で返しに行くね」
申し訳無さそうに岬は俺の左手にサンドイッチを置く。
一緒にレジに並び、商品を買うと、サンドイッチを岬に渡した。
「金はいらないのだよ。朝ぶつかってしまった詫びだと思ってもらってくれ」
「えぇっそんな悪いよ!ダメだよ!怪我したわけじゃないし、気にしなくていいから!お金は返さなきゃダメなの」
「いや、いいのだよ」
「ダメだってば!」
そんな押し問答の末、結局俺が折れた。
どうしても金はダメらしい。
「…わかったのだよ」
「じゃぁ、授業終わったら五組に行くからね。ほんとありがとう」
岬は丁寧にお礼を言う。
二人で二組の教室近くまで戻り、そこで別れた。
高尾の元に戻ると、どうやら弁当を食べずに待っていたらしい高尾は、少しムクれていた。
「遅いぜ真ちゃーん。何してたんだよ」
「悪いな」
岬と会ったことは、面倒だから高尾には黙っておいた。