第2章 続 アンラッキーアイテム//緑間
「でも、岬ちゃん人気だからな〜。真ちゃん奥手そうだし、無理なんじゃね?」
ケラケラ笑いながらそう話す高尾にイラつきを覚える。
「お前に何がわかるのだよ!そんなの始まってもないのに、わからないだろう」
「あ!やっぱり気になってるっしょ!ブッ…真ちゃん可愛いぜ〜」
「うるさい!」
見透かされていることに腹を立てながら、カバンから一限目の教科書を取り出し、机の上に置く。
日傘が目に入ったが、とりあえずカバンから出すのはやめた。
「あれ、日傘机に置かねーの?いつもは『ラッキーアイテムはいつも見えるところに置くのだよ』とか言ってんのに」
「今日はやめておくのだよ」
「あっそ。…ん?もしかして岬ちゃんとの思い出だからとか?!ブハッそんなわけねーか!」
「そんなわけないだろう」
岬と知り合えたのは確かに良かったが…人にぶつかってしまったのは日傘のせいだ。
あまり外に出しておくのは憚られる。
ガラガラッ
「一限目始めるぞー」
数学担当教師が教室に入り、一限目の授業が始まった。
昼休み。
「なー真ちゃん!岬ちゃんのとこ行ってみよーぜ!」
また高尾が調子の良いことを言う。
「なんでだ」
「だって気になってるっしょ?だったら行動あるのみじゃね?あっちも『運命♡』とか思ってるかもしんねーし…ブッ」
完全に面白がっている高尾を面倒くさく感じながら、昼食のため立ち上がる。
「お前は本当に面倒な奴なのだよ。俺は昼食を買ってくるのだよ」
そう言って、食堂に向かった。
いつもながら混雑している。
いつもは弁当を持参するのだが、今日は母親の都合で作れないとのことだ。仕方ない。
日傘を右手に持ちながら、売り物を物色する。
「…あ。真ちゃん?」
「…あぁ。朝は悪かったのだよ」
サンドイッチを持ってレジに並んでいる岬に声をかけられた。