第4章 独占欲///赤司夢
そんな日々が続いたある日、部活へ向かう途中、彼女を見つけた。
普段会うときは私服だったため、制服姿の彼女がとても新鮮に見えた。
隣にいた実渕に先に行っておくよう指示を出し、彼女のもとへ歩き出す。
「真奈美」
「え…」
オレの声に驚いたように振り返る。
「赤司さん…!」
「校内で会うのは初めてだね。驚いて声をかけてしまったよ」
「本当ですね。なんだか、制服姿なのが新鮮です」
「クスッ…さっき、オレも同じことを思っていたよ」
二人でクスクス笑い合う。
「会えて嬉しいよ。じゃぁ、また明日ね」
「はい」
笑顔で軽く会釈をする彼女を背に、体育館へと向かった。
更衣室で着替えを済まし、体育館に入ると、実渕が立っていた。
「誠ちゃん、あの子どうしたの?なんだか仲良さそうだったけど」
実渕が近づいて来る。
…見ていたのか。
「誠ちゃんからマネージャーでもない女の子に話しかけるなんて、レアじゃない?いいもの見ちゃった!」
ふふっと含み笑いする実渕に、多少の苛立ちを覚えつつ、「お前には関係ないだろう」と冷たくあしらう。
「あら、冷たいのね。私あの子の見た目結構タイプなのよね〜。黒髪にミディアムのストレート、目なんかクリクリで可愛かったわね」
その言葉に、実渕を睨みつける。
「…オレから奪う気かい?いい度胸だ」
「じょ、冗談よ!ちょっと止めてよ怖いわね」
オレの言葉と視線に実渕は怯えた表情をする。
「でも意外ね。誠ちゃんも男の子なのね♪」
先程まで怯えた表情をしていたのに、すぐにまたニヤニヤと俺を見て言う。
「…そんな無駄話ばかりして、練習量3倍にされたいのか?」
「すぐ戻るわっ」
顔を青くして練習に戻る実渕。
真奈美はオレのものでもないのに、『奪う』っていう表現で合っていたかな。
だが、誰にも取られたくない。
さて、オレも参加しようか。
「全員集合!」
本日も、洛山高校バスケ部の練習が始まった。